ヒャッハー水だー

植物栽培、釣り、キノコ狩り等々の日記 in北海道

ホッキ貝の寄生虫(閲覧注意)

家では今までホッキ貝を捌く役目はほとんど母親、たまに父親でした。
 
先日、わたくしホッキ貝を大量にいただきまして自分で捌いてみたい!と申し出たところ、結局ぜんぶ捌くことに。
 
それで何個か捌いているうちに気付いてしまったんです。
 
そう、知らない方がいいことに…
 
 
以下、閲覧注意。
寄生虫がムリな人は閉じてね。
 
 
 
 
 
 
 
 
ホッキ貝好きで、寄生虫系が苦手な人は覚悟して見るように。ムリな人は閉じてね。
 
 
 
 
 
 
 
それでは写真を…
 
ホッキ貝にはこんなものが高確率で寄生していました。
イメージ 1
今日ホッキ10個捌いて、そのうち9個からこいつが出ました。
寄生率90%近い。
 
面白いことにホッキ貝1匹につき1匹しか居ませんでした。
 
親はこのことを知らないはずで、知ったら食欲なくなると判断した私は
何食わぬ顔で小瓶を取りに行き、
(母親が食卓で茶をすすりながら台所が空くのを待っている)
捌きながらこの虫を気付かれないように収集。
 
ポケットに忍ばせてから「捌き終わったよ」といって二階のパソコンへ。
 
パソコンで去年の目黒寄生虫博物館の写真フォルダを開く。
そう、寄生虫博物館で見たこれだ。
イメージ 2
(この写真は目黒寄生虫博物館の展示物)
 
いやー、去年船釣り前日に漁師さんの家でホッキ丸ごと焼いたのバクバク食ったから
私これ食ったな。
 
まぁ、通常ホッキを食べるときは捨てる部分に居るのでご安心を。
 
家族に怪しまれるので実際の写真は撮りませんでしたが、
外套膜のエラ側に張り付いています。
このへん(赤矢印)
イメージ 3
 
「ホッキ 寄生虫」で検索してもgoogle先生は「ホッケ 寄生虫」でアニサキス関連のページを出してくれます。
なんて優しいgoogle先生w
 
まぁ、生き物には何かしらの寄生虫がいるもんです。
 
ホッキは旨かったです、ごちそうさま。
 
それにしてもこのヒモビル、なぜ赤っぽいのと白っぽいので分かれているのか?(最初の写真)
なぜホッキ1匹につきヒモビル1匹しかいないのか?彼らのライフサイクルがちょっと気になります。
 
7/13 23:00 追記
上の貝類の図の本は「増補 動物系統分類の基礎(北隆館)」。
古い本ですがこの本には紐形動物の記述や模式図もあって、
ヒモビルは「紐形動物門 有針綱 有針紐虫目 紐蛭亜目のMalacobdella属 japonicaで
特徴は吻に刺がなく、斧足類の外套腔に寄生している。」とあります。
雌雄異体だそうで、色の違いは雌雄の別なんでしょうかね?
 
wikipediaによるとMalacobdellidaeのページには「The family, as well as its sole genus Malacobdella, is characterized by a posterior ventral sucker and a proboscis lacking a stylet.」とあり後部腹側の吸盤と吻の刺なしが特徴らしい。
イメージ 4
てっきり口で吸いついて体液でも吸ってんのかと思いきや、
お尻でくっついて外套とエラの間で何かを食べているのか。
 
しかし、どうして一匹だけなのか?
ホッキ貝はでかいので4,5匹寄生しても余裕があるほどスペースがあるのに、10個捌いた時点で9個に1匹ずつ。
複数は寄生できないのには理由がありそうです。
 
シジミぐらい小さい若いホッキにもいるのかな?
 
 
7/14 さらに追記
 
ネットで社団法人全国豊かな海づくり推進協会の報告書
「主要対象生物の発育段階の生態的知見の収集・整理 報 告」にヒモビルに関する記述が次のようにありました。
「205ページ ウバガイ 寄生種:ヒモビル(小樽・羽幌産約50%,磯部産(福島)70~80%)」
 
寄生率は産地によって違うようだ。日本海側で低く、太平洋側で高いのかな?
ちなみに私が捌いたのは苫小牧産(今のとこ90%)。
 
また、動物學雑誌, 第52巻, 第7号, 昭和15年(1940), 報文「日本産蛭紐蟲 Malacobdella japonica TAKAKURA に就いて」, 河合三郎・山岡貞一, 北海道帝國大學理學部動物學教室に次のようにありました。
 「一般体色は黄白色半透明で、脳、 側神経幹、 吻、 吻鞘及び腸等明瞭に透視される。成熟すると(5〜6月頃)
雄の生殖巣は白色、雌のそれは桃色を呈して、腸の両側に充満し、一見直ちに雌雄を識別し得られる。」
※原文は旧字体でしたので、新字体に手直ししてます。
 
やっぱし、色の違いは雌雄だったようで、オスが白、メスがピンクらしい。
 
最後に、この種を最初に報告した「On a New Species of Malacobdella (M.japonica).」
By U. Takakura.
Zool. Institute, Imp. University, Tokyo.
Printed July 25, 1897
には九十九里浜で採集したホッキ貝56個体中54個体に寄生が確認され、
その54個体中、1個体には7匹のヒモビルが、2個体には4匹のヒモビルが寄生していた。
それらの(複数のヒモビルが寄生していた)個体はすべてとても若い個体だった。
 
という内容の記述がありました。
ホッキが若いときには複数寄生も可能だが、どういうわけかホッキが大きくなると1匹になってしまうようです。